○みやま市政治倫理条例

平成19年6月12日

条例第174号

(目的)

第1条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託によるものであることを認識し、その受託者たる市長、副市長及び教育長(以下「市長等」という。)並びに市議会議員(以下「議員」という。)が市民全体の奉仕者として、人格と倫理の向上に努め、いやしくもその地位に基づく影響力を不正に行使して、自己又は特定の者の利益を図ることのないよう必要な措置を定めることにより、市政に対する市民の信頼に応えるとともに、市民が市政に対する正しい認識と自覚を持ち、もって公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(市長等、議員及び市民の責務)

第2条 市長等及び議員は、市政に携わるに当たっては、その権能が市民から委ねられたものであり、市民のために行使すべき責務を負っているものであることを強く自覚し、その使命の達成に努めなければならない。

2 市民は、主権者として自ら市政を担い、公共の利益を実現する責任を負うことについて自覚を持つとともに、自己の利益又は第三者の利益若しくは不利益を図る目的をもって、市長等及び議員に対して、その権限又は地位による影響力を不正に行使させるような働きかけを行ってはならない。

(政治倫理基準)

第3条 市長等及び議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。

(1) 市民全体の代表者として品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。

(2) 市民全体の奉仕者として常に人格と倫理の向上に努め、その地位を利用していかなる金品も授受しないこと。

(3) (市が設立した公社、市が資本金、基本金その他これらに準ずるものを出資し、又は拠出している法人を含む。第20条において同じ。)が行う工事、製造その他の請負契約、業務の委託契約及び物品の購入契約並びにこれらの契約の下請負及び再委託に関する契約について特定業者を推薦し、又は紹介するなど有利な取り計らいをしないこと。

(4) 市職員(臨時的任用職員及び非常勤職員を含む。以下同じ。)の公正な職務執行を妨げ、その権限又は地位による影響力を不正に行使するよう働きかけないこと。

(5) 市職員の採用等人事に関して推薦又は紹介をしないこと。

(6) 政治活動に関し、道義的に批判を受けるおそれのある趣旨の寄附を受領しないこと。

2 市長等及び議員は、前項の政治倫理基準に違反する事実があるとの疑惑をもたれたときは、自ら誠実な態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにしなければならない。

(令2条例6・一部改正)

(誓約書の提出義務)

第3条の2 市長等及び議員は、規則の定めるところにより、この条例を遵守する旨の誓約書を市長等にあっては市長に、議員にあっては市議会議長(以下「議長」という。)に提出しなければならない。

(資産等報告書の提出義務)

第4条 市長等及び議員は、毎年1月1日現在の資産、地位及び肩書並びに前年1年間の収入、贈与及び税等の納付状況を記載した報告書(以下「資産等報告書」という。)を作成し、毎年6月15日から同月30日までに、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に提出しなければならない。

2 前項の資産等報告書の提出には、市長等及び議員の配偶者に係る資産等報告書も併せて提出しなければならない。

3 資産等報告書には、規則で定めるところにより、証明書類等を添付しなければならない。

(資産等報告書の記載事項)

第5条 資産等報告書には、次に掲げる事項を記入しなければならない。

(1) 資産

 土地 所在、面積、取得の時期、価額及び相続(被相続人からの遺贈を含む。以下同じ。)により取得した場合は、その旨

 建物 所在、種類、構造、床面積、取得の時期、価額及び相続により取得した場合は、その旨

 不動産に関する権利(借地権等) 権利の種類、契約期日、契約価額及び相続により取得した場合は、その旨

 動産 価額が100万円以上の動産の種類、数量、価額及び取得の時期(生活に通常必要な家具、什器及び衣類並びに事業用償却資産を除く。)

 預貯金 預入金融機関名、預貯金の種類及び金額(30万円未満の普通預貯金を除く。)並びに定期預貯金の預貯金日及び満期日

 信託 信託に関する権利の種類、受託者、信託財産の種類、数量、信託の時期及び価額

 有価証券 国債証券、地方債証券、社債券、株券及びその他の有価証券の明細、取得期日、取得価額及び時価額

 ゴルフ会員権 クラブ等の名称、口数及び時価額

 貸付金及び借入金 1件につき50万円以上の貸付金及び借入金の明細、契約期日及び金額

 保証債務 金銭保証、身元保証等の保証債務の内容及び金額(金銭保証については、同一人に対し総額50万円未満のものを除く。)

 貯蓄性保険 貯蓄性の生命保険、損害保険等の種類、保険会社名、契約期日及び保険金額

(2) 地位及び肩書

 企業その他の団体における役職名及び報酬(顧問料等その名目を問わない。)の有無及び金額(宗教的、社交的及び政治的団体を除く。)

 公職を退いた後の雇用に関する契約その他の取決めについての相手方及び条件

(3) 収入、贈与

 給与、報酬、事業収入、配当金、利子、賃貸料、謝礼金、講演料、原稿料、年金その他これらに類する収入の出所及び金額(1出所当たり3万円未満のものを除く。)

 贈与の内容及び金額又は価額(1出所当たり3万円未満のものを除く。)

(4) 税等の納付状況

 所得税、事業税、年金保険料及び介護保険料の前年分並びに市県民税、固定資産税、国民健康保険税及び自動車税(軽自動車税を含む。)の前年度分の納付状況

 普通地方公共団体に関する使用料等の前年度分の納付状況

(資産等報告書の保存及び閲覧)

第6条 市長及び議長は、第4条の規定により提出された資産等報告書を、これらを提出すべき期間の末日の翌日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならない。

2 何人も、市長又は議長に対し、資産等報告書の閲覧を請求することができる。ただし、第4条第3項の規定により添付された証明書類等はこの限りでない。

3 前項の閲覧を請求することができる期間は、規則に定める閲覧開始の日から保存期間の満了する日までとする。

(みやま市政治倫理審査会の設置)

第7条 政治倫理に関する審査、調査等を行うため、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第138条の4第3項の規定に基づき、みやま市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。

(審査会の所掌事務)

第8条 審査会は、次に掲げる事務を行う。

(1) 第11条又は第12条の規定に基づき市長から求められた審査又は調査を行い、その結果を市長に報告すること。

(2) 第16条又は第17条(第18条において準用する場合を含む。)の規定による説明会の開催に関すること。

(3) 前2号に掲げるもののほか、政治倫理の確立を図るため、市長から諮問を受けた事項について調査し、若しくは答申し、又は建議すること。

2 審査会は、前項の事務を行うため、関係人に対し、説明又は資料の提供その他必要な協力を求めることができる。

(審査会の組織及び委員)

第9条 審査会は、委員5人以内をもって組織する。

2 審査会の委員(以下「委員」という。)は、資産等報告書の審査又はこの条例の規定に基づく調査に関して専門的知識を有する者などから市長が公正を期して委嘱する。

3 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。

4 委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また同様とする。

(審査会の会議)

第10条 審査会の会議は、公開とする。ただし、特別な理由がある場合において出席委員の3分の2以上の同意を得たときは、公開しないことができる。

(資産等報告書等の審査)

第11条 議長は、議員に係る資産等報告書の写しを審査のため市長に送付し、市長は、市長等に係る資産等報告書の写しとともに、毎年7月末日までに審査会に提出し、その審査を求めなければならない。

2 審査会は、前項の規定により審査を求められたときは、速やかに審査を行い、審査を求められた日の翌日から起算して90日を経過する日までに、審査の結果及び意見を記載した審査報告書を作成し、市長に提出しなければならない。

3 市長は、前項の規定により提出された審査報告書のうち議員に係る審査報告書を議長に送付しなければならない。

4 市長及び議長は、前2項の規定による審査報告書の提出を受けたときは、その要旨を速やかに公表しなければならない。

5 第6条の規定は、審査報告書の保存及び閲覧について準用する。この場合において、同条第1項中「これらを提出すべき期間の末日」とあるのは、「市長が審査報告書の提出を受けた日又は議長が審査報告書の送付を受けた日」と読み替えるものとする。

(市民の調査請求権)

第12条 市民(法第74条第5項に規定する選挙権を有する者に限る。以下この条において同じ。)は、次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、その30人以上の者の連署をもって、これを証する資料等を添えて、審査会が調査を行うよう、市長等に係るものについては市長に、議員に係るものについては議長に請求することができる。

(1) 資産等報告書の記載内容に疑義があるとき。

(2) 第3条に規定する政治倫理基準又は第20条に規定する請負契約等に関する遵守事項(以下「政治倫理基準等」という。)に違反する行為をした疑いがあるとき。

2 前項の規定による調査の請求がなされたときは、議長は、議員に係る調査請求書及び添付資料の写しを市長に送付し、市長は、市長等又は議員に係る調査請求書及び添付資料の写しを審査会に直ちに提出して、その調査を求めなければならない。

3 審査会は、前項の規定により調査を求められたときは、速やかに調査を行い、調査を求められた日の翌日から起算して90日を経過する日までに、調査の結果及び意見を記載した調査報告書を作成し、これを市長に提出するとともに、その内容を第1項の規定による請求をした市民の代表者に通知しなければならない。

4 市長は、前項の規定により提出された調査報告書のうち、議員に係る調査報告書を議長に送付しなければならない。

5 市長又は議長は、前2項の規定による調査報告書の提出を受けたときは、その要旨を速やかに公表しなければならない。

6 第6条の規定は、調査報告書の保存及び閲覧について準用する。この場合において、同条第1項中「これらを提出すべき期間の末日」とあるのは、「市長が調査報告書の提出を受けた日又は議長が調査報告書の送付を受けた日」と読み替えるものとする。

(市長等及び議員の協力義務)

第13条 市長等及び議員は、審査会の要求があるときは、審査若しくは調査に必要な資料を提出し、又は審査会の会議に出席して説明をしなければならない。

(信頼回復のための措置)

第14条 市長等及び議員は、審査会の審査報告書若しくは調査報告書において資産等報告書に事実と異なる記載がある旨又は市長等及び議員の行為が政治倫理基準等に違反している旨の指摘がなされたときは、これを尊重して、市長等及び議員自ら資産等報告書の記載の訂正その他の市民の信頼を回復するために必要と認められる措置を講じなければならない。

(虚偽説明等に関する措置)

第15条 審査会は、市長等又は議員が審査会に対し、事実と異なる説明をし、審査又は調査に協力をしないときは、期限を定めてその是正を市長等又は議員に求めることができる。

2 審査会は、市長又は議長が審査会の審査報告書若しくは調査報告書の要旨の公表を怠っていると認めるときは、期限を定めてその是正を市長又は議長に求めることができる。

3 審査会は、前2項の規定により是正を求められた者が期限までに正当な理由がなく前2項の是正をしないときその他必要があると認めるときは、その内容を公表することができる。この場合において、審査会は、これらの者に対しあらかじめ弁明の機会を与えなければならない。

(職務関連犯罪容疑による逮捕後の説明会)

第16条 市長等又は議員が刑法(明治40年法律第45号)第197条から第197条の4まで及び第198条に規定する罪その他職務に関連する犯罪(以下「職務関連犯罪」という。)の容疑により逮捕された場合において、引き続きその職にとどまろうとするときは、その理由を市民に対して説明する会(以下「説明会」という。)の開催を審査会に求めなければならない。

2 審査会は、前項の規定による請求があったときは、説明会を開催しなければならない。

3 市長等又は議員は、説明会に出席し、説明しなければならない。

(職務関連犯罪容疑による起訴後の説明会)

第17条 市長等又は議員が職務関連犯罪により起訴された場合において、引き続きその職にとどまろうとするときは、審査会に説明会の開催を求めなければならない。

2 審査会は、前項の規定による請求があったときは、説明会を開催しなければならない。

3 市長等又は議員は、説明会に出席し、説明をしなければならない。

4 市民は、説明会において、市長等又は議員が行った説明に関し市長等又は議員に質問することができる。

(職務関連犯罪による有罪判決後の説明会)

第18条 前条の規定は、市長等又は議員が職務関連犯罪により有罪とする第一審判決の宣告を受けた場合において、引き続きその職にとどまろうとするときに準用する。

(職務関連犯罪確定後の措置)

第19条 市長等又は議員が職務関連犯罪により有罪とする判決の宣告を受け、その判決が確定したときは、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第11条第1項の規定により失職する場合を除き、市長等又は議員は、その名誉と品位を守り、市政に対する市民の信頼を回復するため、辞職手続をとるものとする。

(市との請負契約等に関する遵守事項)

第20条 次に掲げる者は、法第92条の2、第142条、第166条及び第180条の5の規定の趣旨を尊重し、市が行う工事、製造その他の請負契約、業務の委託契約及び物品の購入契約又はこれらの契約の下請負若しくは再委託に関する契約を締結しないものとする。

(1) 市長等及び議員

(2) 市長等及び議員の配偶者

(3) 市長等及び議員の2親等以内の親族

(4) 前3号に掲げる者が役員をしている企業

(5) 市長等及び議員が実質的に経営に携わる企業

2 前項に規定する「実質的に経営に携わる企業」とは、次に掲げるものをいう。

(1) 市長等及び議員が資本金その他これらに準ずるものの3分の1以上を出資している企業

(2) 市長等及び議員が年額300万円以上の報酬(顧問料等その名目を問わない。)を受領している企業

3 前2項に該当する市長等及び議員は、市民に疑惑の念を生じさせないため、関係者又は関係企業の辞退届を提出するものとする。

(委任)

第21条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

附 則

この条例は、公布の日から施行する。

附 則(平成21年3月4日条例第1号)

(施行期日)

1 この条例は、平成21年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例による改正後の第5条第1号エ及びオの規定は、平成21年分の資産等報告書から適用する。

(みやま市議会議員の政治倫理条例の廃止)

3 みやま市議会議員の政治倫理条例(平成19年みやま市条例第181号。以下「旧条例」という。)は、廃止する。

(旧条例廃止に伴う経過措置)

4 この条例の施行の日の前日までに、前項の規定による廃止前の旧条例第4条の規定に基づき提出された資産等報告書の保存及び閲覧については、旧条例第6条の規定は、この条例の施行後においても、なおその効力を有する。

5 前項に定めるものを除き、この条例の施行の日の前日までに旧条例の規定によりなされた手続その他の行為は、この条例による改正後のみやま市政治倫理条例の相当規定によりなされた手続その他の行為とみなす。

附 則(平成24年3月23日条例第1号)

(施行期日)

1 この条例は、平成24年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例による改正後の第5条の規定は、平成24年分の資産等報告書から適用する。

附 則(令和2年3月19日条例第6号)

(施行期日)

1 この条例は、令和2年4月1日から施行する。

みやま市政治倫理条例

平成19年6月12日 条例第174号

(令和2年4月1日施行)

体系情報
第1編 規/第4章 政治・公務員倫理
沿革情報
平成19年6月12日 条例第174号
平成21年3月4日 条例第1号
平成24年3月23日 条例第1号
令和2年3月19日 条例第6号